私は…誰だ.1

シリーズ:私は…誰だ(なぞなぞ)

もう20年になるだろうか。

右左右左と繰返し繰返し、働いてきた。
動く事を前提として、もちろん動けなくなったら捨てられる。
新人が入った事もあるが、すぐに、別の部屋に行ってしまった。
あいつは元気にしているだろうか。

私はと言えば、もう上を向く気力もない。
正面を向いているだけで精一杯なのだ。
気を抜くとすぐに下を向いてしまう。
それでも動き続けた。

右左右左、みぎひだり、みぎひだり。。

「下を向いていては、意味が無い!」と首筋を捕まれ強引に上を向かされるが、首筋から手が離れたとたん、ガクンと下を向いてしまう。

首に紐を巻かれたり、粘着テープを貼って固定された事もあった。
動きが悪いと、油をかけられた事もある。

限界だ…

もう20年なのだ。

カタカタと最後の声をあげ、私は停止した。。。

そう、私は『扇風機』。羽のある扇風機。

下を向いている時には、冬場に活用して欲しい。サーキュレーター代わりに。
丁寧なメンテナンスを強く希望する!

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