私はいつでもあなたを支えている。
二十四時間、三百六十五日、一分、一秒、片時も離れずに。
自立しているようで時折倒れ込むあなたを、私は必ず支える。共倒れは許されない。
あなたは私の仕事ぶりに気づいてくれているだろうか。
当たり前の存在として、視界にすら入っていないのかも知れないと、少し悲しく思う事もある。
あなたのため、私には日が当たらなくても、古くさくても、泥臭くてもこの役割を全うする。
地道な努力は報われないのだろうか…そんな疑問が湧く事もある。
時には、背中から。
または両脇を抱えてでも、あなたを倒れさせない事こそが私の使命。
私自身には支えはないけれど、大丈夫。
この足でしっかりと踏ん張っているから。
私は時代に合わせ、自分自身の改善を重ね、研鑽をし、時には姿を変える事さえ厭わなかった。
本来の働きとは違う要求にも応えてきた。
どうか、名前を覚えて欲しいと願う日々だ。
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そう、私の名前は『ブックエンド』。
本を支え続けて約155年。近頃は「じゃない方」の使われ方も増加中の千両役者である。
キッチンの便利用品では無いのだ。
そこのところ、一つよろしくお願いしたい。
